学部長挨拶

 時代と共に“ 学び” は変化しています。“ 学ぶ事” も“ 学ぶ人” もです。人間の本質や自然の摂理は基本的に変わることはないかもしれませんが、我々が理解しているのは、その一部にすぎません。学問は、新たな知識の発見や技術の積み重ねで、日々更新されていきます。“ 学ぶ人” は、何を学ぶのか、何のために学ぶのか、いつ学ぶのか、どこで学ぶのか、その人の思いや社会情勢などに応じて“ 学び” を変化させます。
 
 国際総合科学部は、“ 文系・理系” のような既存の枠組みで仕切られた学問領域の一部を追求するやり方ではない、時代に求められた“ 新たな学びの場” として設計されています。ここでの“ 学び” は、学問領域を横断し、また融合し、その対象を日本と世界にも広げた“ 豊かな総合力” を修得するものです。また我々は、この“ 豊かな総合力” を駆使して様々な分野の世界のエキスパートたちを接続しながら、社会に変革をもたらす役割を担う人材、 “ グローバルスペシャリスト” の養成を目指しています。
 
 さて、今まさに“ 自分の学び” を探している人に、「国際総合科学部での” 学び“ の専門性は何ですか?」と問われたなら、既存の学問領域を表す名称で答えることには違和感があります。“ 一人一人の人間が中心となる社会” を創造するには、既存の学問領域それぞれに通じながら、それらを横断し融合する新たな学問が必要と考えるからです。国際総合科学部では、この新たな学問を体系化すべく“ デザイン思考” をはじめとする様々な思考方法と共に、それらを用いて広い分野の知識・技術を組み合わせることで、社会課題を解決するための“ 豊かな総合力” を養うことができると考えています。
 
 細分化した高度な知識や技術の深化を目指す学部がある一方で、国際総合科学部はそれらの統合設計・社会実装の深化を目指している学部です。つまり国際総合科学部とは、これまでの学問に蓄積された知識・技術を駆使しながら、既存の枠組みにとらわれないトランスフォーメーション(変革)を起こすことで、社会に新しい価値を生み出そうとしているのです。
 

2023年4月

山口大学国際総合科学部長 杉井 学